私は、T-TIME(ティータイム)のコーポレートサイトの経歴の中でもMBAホルダー(青山学院大学大学院)であること公開しています。「かっこつけて自慢すんじゃねーよ!」という批判を覚悟の上で、実際に自分...
2015年に開催されたラグビーワールドカップ(イングランド開催)で、日本代表が優勝候補でもある南アフリカを破って、話題となりましたね。2016年のリオオリンピック(7人制ラグビー)でニュージーランドを破ったことも記憶に新しいです。そんなラグビーブームで、ラグビーとビジネスをマネジメントの視点で論じられることが多くなりました。
ラグビーは、15人というスポーツの中では、大人数の選手がプレイすること、個人の能力より、チーム能力が勝敗を大きく左右するということで、ビジネスの現場に似ているのだと感じます。
私も高校・大学とラガーマンだったということで、ラグビーとマネジメントは密接に関係していると実感しているのです。今回は、ラグビーの精神とビジネスのマネジメントの関係性を探ってみました。
ビジネスの現場で一人一人の成長は欠かせませんが、リーダーやマネージャーにとって、もっと大切なことは、チーム全体が成長するという考え方。チーム全体を底上げするという言い方が正しいかもしれません。
ラグビーには、「One for all, All for one」という精神があります。これは直訳すると「一人はみんなのために、みんなは一人のために」となります。しかし、この精神で誤解されがちなのが、「一人の責任ではなく、みんなの責任」と思われていること。ここは明確に間違っていて、一人の役割をきっちり果たして、そしてみんなに貢献するというのが、そもそものOne for all, All for oneの基本となります。
たまたまNHKの「アスリートの魂」というテレビ番組で五郎丸歩選手の特集をやっていて、それを見ていたのです。高校生時代に五郎丸選手が試合でボールを取り損ねて、その結果、試合で負けてしまったというシーンがありました。
その時の監督だった小城監督は番組の中でこう言ったんです。
「ボールの処理は個々の能力、個人のスキルなんですよ。これは五郎丸の責任なんです。他の誰の責任でもない。」
個人が果たすべき役割は明確にあって、その失敗をカバーするのは他の誰でもなく、その個人なのだということなんです。
一人一人が責任を持ち、役割をこなして、チームとして成長していくということがラグビーでもビジネスでも重要になってくるのです。
ラグビー日本代表は、世界の強豪国と比べて、体格差があります。ラグビーはフィジカル面に左右されるスポーツなので、体格差で負けていると、非常に不利になります。
ここで、前監督のエディーヘッドコーチは、このように述べています。
ラグビーは非常にフィジカルなスポーツで、体格差が勝敗を決める大きな要素の一つになります。日本人のように体格で劣っていれば、ほかの手法で立ち向かうしかありません。
日本代表が成功を収めるために必要だったことは、フィットネスを高めること、素早いチームになること、スキルが高いチームになること、そして戦術的に賢く戦えるチームになることでした。
引用:NEWS PICKS
弱い面をカバーするために別の方策を考え、戦えるチームにしていくという考え方が重要になってくるのです。
以前、私の取引先で大手のリース会社があったのですが、そこの担当者が言っていたのが、「私たちは、決して営業が強くありません。しかし、営業が強くない分、お客様には丁寧に接し、決して押し売りはしません。自分たちが納得のいくものを、大切に売っていくだけです」ということ。
この言葉は今でも心に残っています。弱みを見つけて、別の強みを考えることだけではなく、弱みを強みに変えて伝えていくことが大切になってくるんですね。
この担当者の言葉が、その会社の歴史・文化になって根付いていくと感じました。
ラグビーの場合、試合中に監督(ヘッドコーチ)はベンチにも入れず、観客席から見るというのが一般的です(最近はトランシーバーなどで指示を出しているようですが…)。サッカーのように、監督が、ベンチで声を上げて指示を出すというスポーツではないのです。そういった意味でも、試合中は監督ではなく、プレイしている選手に現場を任されているという状況。
南アフリカ戦の最後も、相手選手のペナルティで、キックの指示をエディヘッドコーチが出したの対して、選手がスクラムを選択して、あくまで勝ちに行くという選択したのも記憶に新しいですね。
私が高校時代、試合中に相手選手のペナルティをもらい、チーム全体としては、トライを取りに行くという雰囲気だったのに、監督のキックの指示が聞こえてしまった私は、キックを選択してしまったという恥ずかしい記憶があります。
ただし、それくらい現場のことは現場で任されているという責任もありますし、自分たちで考えて、何とかしなければという考えがラグビーの試合ではあります。ビジネスでも同じような状況が多いので、ラグビーとビジネスの現場が比較されることが多いのだと私は思います。
何かがあったら、すぐに上司に相談して何とかしてもらうというのではなく、まずは自分で考えてみる、チームで相談してみるという現場で何かできないかを模索する姿勢が大切なんですね。もちろん、上司へのホウレンソウも大切なのは十分承知しています。
ラグビーとマネジメントの関係を書いてみましたが、如何でしたでしょうか。ラグビーは、日本ではまだまだマイナースポーツですが、日本代表の活躍でトップリーグも盛り上がってほしいですね。また、ラグビーのマネジメント論・戦略論が、もっとビジネスの現場に活かされることを願っています。